
「こんな逸材どこで!?」

ビズリーチ!!
良くも悪くも観た人の印象に強く残るこのCMでおなじみの転職サイト「ビズリーチ」を運営する「ビジョナル」の東京証券取引所マザーズ市場への新規上場(IPO)が先日承認されました。
上場日は2021年4月22日を予定しています。
ついに上場という感じですね。
想定発行価格から算出した時価総額は1,500億円超えの超大型案件です。
従来の採用手法とは異なり、企業が求める人材に直接アプローチできる「ダイレクトリクルーティング」という採用手法を業界に持ち込んで転職&採用業界に変革を起こしたビズリーチ。
今後、転職を考えている人もそうでない人も同社のビジネスについて知っておいて損はないでしょう。
(ビジョナルにおけるビズリーチ事業は全体売上の8割を占めるため、以下ではビズリーチ事業に的を絞ってお話しさせていただきます。)
ビズリーチのビジネスモデル
これまで企業と求職者が直接やりとりできるプラットフォームというのが存在しなかった人材業界において、ビズリーチは人材データベースを企業に開放しました。
それが、求職者と採用企業、ヘッドハンターの三者が集う日本最大級のダイレクトリクルーティングプラットフォーム「ビズリーチ」です。
従来の転職サイトでは、企業側が求人を出し、その求人に求職者が応募をするという構築が一般的でした。
それに対し、ビズリーチでは求める人材に企業自らが直接アプローチすることができます。
ビズリーチの強み
ビズリーチの画期的な点は求職者課金型のサービスであることです。
これまでの求人業界の仕組みは、企業側が求人広告費を支払う、あるいは人材紹介会社に依頼するといった企業側負担が基本でした。
それに対し、ビズリーチでは求職者側が利用料金を支払うことで自身の情報をビズリーチの人材データベースに登録してもらうことになります。
ビズリーチを利用する費用として、企業には月額のデータベース利用料金や1名採用するごとの成果報酬が発生しますが、これは一般的な転職サイトへの求人広告費用や人材紹介会社の紹介報酬よりも安めに設定されているそうです。
また、ビズリーチの会員は審査で選別された人材であり、その中でも有料会員は転職意欲が高い人材でもあります。
企業側にとって、ビズリーチは従来よりもローコストでかつ魅力的な人材を採用できる手段と言えるのです。
一方、求職者にとっては一見デメリットが大きい仕組みのようにも見えるかもしれません。
しかしながら、上記の通り求人企業にとってメリットの大きいこのサービスに登録することは、結果として自身に対するスカウトの機会を増やすことにつながります。
そうして求職者の登録者数が増えることでこの人材データベースがさらに魅力的なものとなっていき、それによって企業側も一層にこのサービスを使いたくなる、この好循環の流れに乗ってビズリーチは急成長を続けてきたのです。
ビズリーチを運営するビジョナルの業績
そんなビズリーチを運営するビジョナルですが、IPOに向けて有価証券届出書がEDINETに公開されましたので、その有価証券届出書に掲載されている財務情報を基にしてそれをグラフにまとめました(下図)。

※2016年7月期、2017年7月期の財務情報は未監査財務諸表に基づいて作成
※2021年7月期は予想業績
ご覧の通り、直近の業績は冴えません。
売上高は前年比で微かに増収、営業利益に関しては前年比から大幅減益です。
企業が新規上場を果たす場合、直近の業績が急拡大しているタイミングで行うのが一般的ですが、ビジョナルはその例には当てはまらないようです。
とは言え、コロナ禍が直撃したことも考慮すれば、実質的には業績は順調に拡大を続けていると考えてよいでしょう。
海外配分比率も高く、外国人投資家の参戦も期待される案件です。
ですが、その点を加味しても、IPOの想定価格4,355円というのはかなり高い印象です。
今後の期待分がすでに織り込まれた価格であるとは言えますね。
ですので、私は一旦は様子見になるかと思います。
ただ、今後も注目を集める企業となることだけは間違いなさそうです。
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