「最近の若者は忍耐力がない」
よく耳にするおなじみのフレーズですが、たぶん同じようなことは昔から言われてきたんだと思います。
昔の若者たちも同じようなことを言われて育ってきており、今度は彼らが若い世代に対して同じ文句を言う。
その繰り返しというわけですね。
ただ、昔と最近で変わってきていると感じる部分もあります。
それは、若者の忍耐力というよりはむしろ世間の忍耐に対する考え方です。
世の中がそれほど忍耐や我慢を重視しなくなってきている、そのように私には感じられます。
最近の若者は忍耐力がなくなった?
本当に最近の若者は忍耐力がなくなってきているのでしょうか。
そのように言われる理由としてよく挙げられるのが「最近の若者は会社をすぐ辞めてしまう」というものです。
これに関しては、私も他人事ではありません。
私も会社を辞めたわけではないにせよ、過去に自ら異動を願い出た経験があります。
このような社内の異動に対しても、「嫌なことがあったらすぐ逃げ出す」というイメージをお持ちになられる方もおそらくいるはずでしょうから。
実際のところ、会社を辞めたり社内での異動を願い出たりする人が昔に比べて増えているのかどうかは定かではありません。
もっとも、仮にそのような若者が増えていたとして、それを「若者の忍耐力がなくなった」という結論にもっていくのは早計のような気もします。
どちらかというと、変わってきたのは若者の忍耐力というよりも世間の忍耐に対する考え方であると私は感じています。
忍耐=美徳ではなくなった
世の中の風潮として、忍耐というものがそれほど重視されなくなってきている、そのように私には感じられます。
耐えることは美徳ではないし、つらい状況に苦しみ続けて潰れてしまうくらいならそこから逃げ出したほうがいい、社会全体の流れとしてそのような風潮に変わってきているのを感じます。
こうした背景には、インターネットやSNSの普及の影響が大きいかもしれません。
かつてのサラリーマンは会社の上司や先輩社員の話を聞いて育ってきたわけですが、会社の上司や先輩社員というのはいわば「耐え続けてきた人」です。
さまざまな会社のしがらみや理不尽さに耐えてきた彼らからしてみれば、忍耐は美徳であり、そのような忍耐に対して否定的なことを述べるはずもありません。
つらい状況に耐えてきた、苦労を乗り越えてきたからこそ今の自分がある、そのように忍耐のメリットを説くことでしょう。
我慢しない時代の人々との付き合い方
しかしながら、このような忍耐を続けた結果、身体や心に重いダメージを抱えてしまう人も中にはいることでしょう。
そのような人々の声というのはなかなか表には出てこないものです。
表舞台にいる人たちというのは、忍耐を続けてこられた人たちが大半だからです。
耐えることのデメリットやそこから逃げ出すことの必要性を訴える人たちの意見を聞く機会というのは、かつてはそれほど多くなかったのかもしれません。
現在では、インターネットやSNSなどの普及によって、そういった声や意見が広く届けられるようになってきました。
その影響もあってか、会社を辞めることなどに対しても世間は寛容になってきているような印象を受けます。
もちろん、忍耐そのものは現代においても非常に重要な資質のひとつであるし、一概にその良し悪しを語ることはできません。
ただ、世の中がかつてほど忍耐を求めなくなってきているのは間違いないし、若者の考えもそのようにシフトしていくはずです。
そのような我慢しない時代の人々との付き合い方を学ぶ姿勢がこれからの時代では必要となってくるはずです。
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