働き方改革は日本における急務の課題です。
最近急速に普及しているテレワークもそうですし、フレックスタイム制度(時差式出勤)などもそのひとつです。
こうした働き方改革の妨げになっているのが、勤続年数の長いベテラン社員の人たちの存在だと考えています。
その理由についてご説明します。
変化することを嫌う
人間は変化を嫌う生き物です。
ベテラン社員の強みとは経験の多さです。
昔からやってきた仕事をそのままのやり方で続けるというのは、その自分の強みをもっとも活かせる方法です。
ところが、こうした働き方改革などによって仕事のやり方が変わってくると、これまでの自分の経験や強みを十分に活かせなくなる可能性があるのです。
正直、テレワークなどはITリテラシーの高い若手社員のほうが難なくこなせる可能性は大いにありますからね。
経験知を新しい仕事に展開できる人もいます。
でも、それができない人もいます。
ある程度やり慣れた仕事(ルーティンワーク)をし続けるのは、見かけほど大変なことではありません。
新しいことに挑戦することがもっとも困難で負荷がかかることなのです。
ですから、ベテラン社員の人たちがそうした仕事のやり方の変革を求められる働き方改革に対して消極的になるというのは、ある意味で仕方のないことなのかもしれません。
時間管理しかしてこなかった
テレワークになると、社員がどこにいて何をしているのかを直接監視することはできません。
それを例にとって、労務管理が大変だと愚痴をこぼす管理職の光景をよく見かけます。
ですが、別に部下が会社にいようがいまいが管理職の行う仕事は本質的には変わらないはずです。
管理職の行う仕事、それは部下の仕事量と成果を管理することです。
仕事の作業ボリュームと部下の能力を見極め、その仕事にどのくらいの時間を要するのか、これだけの時間を要するとどのくらいの成果を得られるのか、そういったことを把握(管理)するのが管理職の仕事のひとつだと思っています。
ですが、実際にはそんなことは全然やっていなくて、単に部下が会社にいる時間(就業時間)だけを管理して、それでさも管理した気になっている管理職の人たちというのは大勢います。
ですからテレワークのせいでやることが増えるとかいう話では全然なくて、もともとやるべきことをやってなかっただけの話です。
テレワークにおける業務管理は決して簡単なものではありませんが、そういった本来の仕事をろくに行ってこなかった管理職があまりにも多いという実態がテレワークの普及が進まない一因にあるはずです。
無能になっている
誤解しないでください。
これは私が言っているわけではありません。
有名な「ピーターの法則」によるものです。(ピーターの法則とは以下のようなものです。)
1.能力主義の階層社会では、人間は能力の極限まで出世する。したがって、有能な平(ひら)構成員は、無能な中間管理職になる。
2.時が経つにつれて、人間はみな出世していく。無能な平構成員は、そのまま平構成員の地位に落ち着く。また、有能な平構成員は無能な中間管理職の地位に落ち着く。その結果、各階層は、無能な人間で埋め尽くされる。
3.その組織の仕事は、まだ出世の余地のある人間によって遂行される。
引用元:Wikipedia
ある人材はいずれはその組織内で昇進できる限界にまで達する、そしてその限界を超えた役職を任されるとその人はもはやその地位では無能な人間となり結果として無能な役職が生まれる、といった衝撃的な内容の法則です。
年配の社員の方々を非難するつもりはありません。
ただ、こういった考えがあるのも事実なのです。
ベテラン社員の人たちは、言ってしまえば今の自分の実力以上の不相応な地位にいるわけです。
テレワークに移行して成果が可視化されたときに、ベテラン社員が今の地位に見合った成果を出すことは困難なはずです。
ですから、自分の定位置を確保したベテラン社員が、あえて自分の定位置が危うくなるかもしれない変革に従う必要性はどこにもありません。
新しいことに挑戦できるのはやはりまだ限界点に達していない若い人たちなのだと私は思っています。
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