人事評価の定量化プロセスは社員の強みを評価しようとする最大限の誠意【セイバーメトリクス】

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人間の能力や価値を数値化する。

こういった言い方をすると、なんだかとても冷徹な印象を持たれてしまうかもしれません。

人間は機械じゃない、なんでもかんでも数値化だと言い出すのはロジハラ(ロジックハラスメント)だといった非難もあるでしょう。


これについて弁明させてください。

私の考えはこうです。

人間の能力は多種多様だから一律に評価(レーティング)をつけるべきではない

のではなく、

多種多様な人間の能力を多種多様な指標によって可視化して再評価すべきである

というのが私の持論です。

社員の最重要スキルはコミュ力

多くの会社、職種において、社員に求められる最重要スキルはコミュニケーション能力(コミュ力)です。

それは間違いないと思います。


ですが、社員に要求される能力とはそうしたコミュ力だけではありません。

見た目にもわかりやすいコミュ力などに隠れて、過小評価されている個人の能力や功績があるはずです。

人事評価の問題点は、そうした多種多様な個人の価値や功績を十分に評価しきれないところにあります。


それが、自分の価値や功績をわかってもらえていないといった不満にもつながっていくわけです。

埋もれていた個人の強みや功績を可視化する

そうした能力にスポットライトを当てることこそ、私が言いたい人事評価の定量化の目的なのです。


前述したコミュ力ひとつ取っても、色々な要素があります。

情報を的確に伝える能力だけでなく、相手の感情面への配慮や気配りができることももちろん立派なコミュ力です。

論理的な説明を好む人もいれば、感情に訴えかけるような話し方をする人もいます。

コミュ力が高い(または低い)と一概に言っても、色々なタイプがいるわけです。


もしもこれらの構成要素が明確に定義されているのであれば、一律な評価というのも決して不可能なものではありません。

たとえば以下のような評価になってくるわけです。

  • この社員は情報を処理する能力は平均以上の水準だが相手への配慮は平均よりやや劣る
  • この社員のコミュニケーションは論理性よりも感情に重きが置かれている


評価の指標が具体化されることで、社員は自分の長所と短所を客観視できるようになるのです。

決して総合的な評価は高くなかったとしても、その評価が適正なものであれば社員は自分の強みが評価されていることがわかって安心できるかもしれません。


もちろん、個人の主観に大きく依存してしまう部分(性格など)を一体どのように評価していくべきかといった課題もあります。

ですが、ここでもっとも大事な点はこの社員のあらゆる価値を見い出そうという考えにあるのです。

野球のセイバーメトリクスは個人の価値の定量化

この個人の多種多様な能力を可視化するという取組みを考える上で大変参考になるのが野球のセイバーメトリクスです。

セイバーメトリクスは、野球の様々なデータを統計学的な見地から分析して定量的な指標に落とし込んでいく手法です。


このセイバーメトリクスによって、たとえば

  • (守備の評価で)あるプレイヤーが打球に対して飛びついてキャッチしたため一見ファインプレーのように見えたが、他のプレイヤーであれば飛びつくことなく処理できた打球であった
  • (投手の評価で)一見成績が良く見えるプレイヤーがいるけれども、それは運や味方の守備力によるところが大きい

といったことがわかるようになります。


実は、このセイバーメトリクスの考えは仕事にも展開できる話です。

具体的には、

  • ある社員は毎日残業続きであったためよく仕事をしているように見えたが、他の社員であれば毎日定時上がりでもこなせる仕事であった
  • 一見大きな成果をあげているように見える社員がいるけれども、それは仕事やプロジェクトの難易度や味方のサポートによるところが大きい

といったように置き換えられるわけです。


私は、人事評価の定量化プロセスは社員に対する最大限の誠意であると考えています。

決して否定的に捉えるのではなく、あらゆる角度から社員の強みを知ろうとする取組みなのだと肯定的に捉えてほしいものです。


(セイバーメトリクスについては、この概念の理解に役立つ代表的な指標の解説も含めて過去に何度か取り上げさせていただいています。そちらもぜひご覧ください。)

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