上司と部下の意見や考えが噛み合わず、互いに衝突してしまうということも時にはあるでしょう。
そんなとき、上司が部下に対して怒りを露わにすることもあるかもしれません。
その際、上司はこのようなことを口にすることがあります。
「あなたのために言っているんだ」
このような発言をしてくる上司に対して、私は強い苛立ちを覚えます。
私がこのような上司の発言に対して苛立ちを覚える(むかつく)のは、上司が「上司の課題」を「部下の課題」にすり替えようとしているからです。
以下で詳しく説明させていただきます。
なぜ上司の話はむかつくのか?
過去にアドラー心理学を取り上げた記事を書きましたが、このアドラー心理学には「課題の分離」という考えがあります。
自分自身でコントールできる「自分の課題」とコントロールしきれない「他人の課題」とを切り分け、自分ではコントロールしきれない「他人の課題」に振り回されることなく「自分の課題」に注力すべきだというものです。
この考えを上司と部下の関係に当てはめてみます。
職場において、上司と部下の意見や考えが噛み合わず、互いに衝突してしまうということもときにはあるでしょう。
そんな中、上司が部下に対して怒りを露わにすることもあるかもしれません。
その際、上司はこのようなことを口にすることがあります。
「あなたのために言っているんだ」
このような発言をしてくる上司に対して、私は苛立ちを覚えます。
特にお互いが感情的になっている場面ではなおさらです。
この発言は上司が自分が怒っている理由を部下に押し付けようとするものです。
つまり、上司が怒っているのは部下のため、つまり「部下の課題」の解決のためだと言っているのです。
でも、それは違います。
上司が怒っているのは、ただ単に自分の個人的な目的を達成するため、つまり「上司の課題」以外の何物でもないのです。
上司が怒っているのは部下のためではない
上司が怒るのは「上司の課題」です。
上司が怒っているのは部下のためでは決してありません。
上司が怒る目的は上司自身にあります。
そのひとつは、上司自身のメンツのためです。
上司と部下は会社においては主従関係にあります。
ですから、上司は部下にその主従関係を示されなければなりません。
そのために、たとえ部下の言い分に分がある場合であっても、上司は自分にとって都合の良い何かしらの理由をつけて部下を怒り、権威を示そうとするのです。
また、その叱責の度合いが激しいものであれば、それは単に上司が自身の感情をコントロールできていないに過ぎません。
上司が怒りをぶちまけるのは感情を発散したいという上司自身の欲求から来ているものなのです。
上司の課題まで押し付けられ、本来背負うべきでない苦しみまで抱える
上司と部下が衝突する場合、当然ながら部下側にも問題があることがほとんどです。
ですが、そうした衝突に至った原因がすべて部下側にあるというわけでは必ずしもないはずです。
(先ほど述べた通り)上司側にも問題(課題)がある場合は多いはずです。
しかしながら、上司はその立場を利用し、自分の指導力やメンタル面の課題(上司の課題)を棚に上げ、その衝突の責任をすべて部下に一方的に押し付けることができてしまいます。
「俺が怒っているのはお前のため(お前に問題がある)」などと言って、部下を責めるのです。
それによって、部下は「上司の課題」まで押し付けられ、本来背負うべきでない苦しみまで抱えることになるのです。
まだ職務経験の浅い若い人の中には、もしかしたら「自分のせいで上司を怒らせてしまった」と自責の念に駆られてしまう人もいるかもしれません。
ですが、そんな必要は全くないわけです。
もちろん、自分の至らなかったところを反省する必要はありますが、上司が怒ること自体はあなたが抱えるべき課題ではないのです。
「部下のため」などと言って部下に責任をすべて押し付ける上司など「部下思いの上司」からはもっとも遠い存在なのですから。
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