良い数値化と悪い数値化

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ビジネスにおいては極力曖昧な表現を避けていくべきです。

たとえば、一概に「多い」「少ない」と表現しても、人によってその基準はまちまちです。

ですから、それらを具体的な数字に落とし込んでいく、つまり数値化・定量化のステップが非常に重要であると言えるのです。


そして、私自身もこの数値化・定量化を行うこと自体には大いに賛成の立場です。

これは、私が追求する客観的な視点を磨くことにもつながるものです。


しかしながら、この数値化は大きな危険性も孕んでいます。

数値は決して絶対的なものではないし、使い方を誤るととかえって本質を見逃すことにもなりかねません。

数値化には、良い数値化悪い数値化があるのです。

数値に落とし込んだからといってすべてが説明できるわけではない

私がこの数値化の話をするときに、よく例として取り上げるのが野球のセイバーメトリクスの話です。

セイバーメトリクスは、野球の様々なデータを統計学的な見地から分析していく手法です。

このセイバーメトリクスにより、野球のプレイヤーのピッチング、バッティング、守備、走塁など、プレイヤーによるほぼすべてのパフォーマンスを定量化し、プレイヤーの価値が可視化されるようになっています。

【参考記事】


このセイバーメトリクスにも様々な指標が存在します。

ひとつの指標でその選手のすべてを評価することなどできないのです。


当たり前のことのように聞こえるかもしれませんが、数値に落とし込んだからといってそれですべてが説明できるということはまずありません。

数値化や指標により説明できる部分もあれば、説明しきれない部分もあります。

物事の本質を捉えようとするのであれば、多角的な視点から物事を捉えていく必要があります。

そのためには、様々な尺度や指標を取り入れ、またはそれらを組み合わせていくなどして様々な角度から物事を見ていくことが大切なのです。

本質を見抜けていない中での数値化は極めて危険

このように、一口に数値化と言ってもその奥は深いと言えます。

逆に言うと、中途半端な数値化はかえって本質を見逃すことにもつながりかねません。

本質を見抜けていない中での数値化はきわめて危険であり、また関係する人々から激しい反発を招く可能性もあるのです。


私自身もこのような中途半端な数値化の取組みに対して不満を抱いています。

現在、私の勤める会社では業務の効率化という取組みを進めており、その取組みにおいて業務の時間管理を徹底しようとしています。

たとえば、「この作業の標準時間は〇分で、それに対して実際には□分要したので効率は△%であった」という感じです。


この取組み自体には、私自身も賛同する気持ちはあります。

ですが、実際にこれらの取組みに関わっている実感としては、業務の本質をわかっていない人たちが目先の数値ばかり追っているようにしか感じられないのです。

アウトプットの数字ばかり気にして、その数値に落とし込む過程やその考え方の妥当性についてはまるで意識が向いていないように思えてなりません。

本当に大切なのはそちらの方なのです。

定量や数値化することで一体何を得ようとしているのか、それらの数字は本質を正しく反映しているかどうか、そういった分析を行っていくべきなのです。

良い数値化と悪い数値化

数値化はチームとしての目標やゴールに明確な形を与えてくれるものであるべきだと私は考えています。

目標やゴールを具体的な数値に落とし込むことで個人間の認識のずれが解消されてチームで目標を共有できるようになる、それが良い数値化です。


しかしながら、何も考えずただ数値に落とし込んでみただけ、それらの数値が本質を正しく捉えられているのかを検証しようともしない、このような悪い数値化が世の中にははこびっています。

悪い数値化によって生まれるものはありません。

むしろ、あまりにも本質から外れた数値化は、かえって方向性や目標レベルの認識のズレを生んでしまうことにもつながりかねません。


数値化にはメリットもありますが、反面大きな危険性も孕んでいます

ですから、その責任の重さを自覚しながら数字と向き合っていくことが必要でしょう。

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