【銘柄紹介】SHIFT(3697)~軽視されていたソフトウェアテストに変革をもたらしたパイオニア企業

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ビジネスの世界には古い体質や仕組みが数多く残されています。

しかしながら、自身が勤める会社のこうした旧体質の仕組みや制度に対して不満や改善を提言したところで、それを快く受け入れてもらえるとは限りません。


ですから、その思いは勤め先の会社ではなく別のところにぶつけましょう。

たとえば、自分が常日頃から問題や課題だと感じている会社の仕組みや制度の改善に取り組んでいる会社に投資してみるのはいかがでしょうか。

もしかしたらその会社は順調に成長を続け、あなたの考えに間違いがなかったことを証明してくれるかもしれません。

もちろん、それには資産の増大というおまけも付いてきます。


今回は、ソフトウェアテストの領域に大きな変革をもたらしたSHIFT<3697>という会社を紹介させていただきます。

同社はソフトウェアテストのアウトソーシングサービスという市場を切り開いたパイオニアですが、このような未開の地に道を切り開くことの功績についてのお話となります。

軽視されていたテスト工程

メーカーにおける花形と言えばやはり開発エンジニアではないでしょうか。

開発はモノづくりの上流工程に位置し、すべてはそこから始まります。

開発工程がモノづくりの要であることには疑いの余地がありません。


一方で、出来上がった製品やサービスの評価やテスト工程というのはどのように捉えられているでしょうか。

私自身、このような製品の評価・テストに携わる立場の人間ですが、実際のところ評価・テスト工程というのは開発工程や設計工程に比べて軽視される傾向にあると感じています。


良くも悪くも、上流工程に比べれば下流工程はごまかしがききます。

上流工程である開発工程や設計工程を疎かにしてしまえば、まともな製品は出来上がらないでしょう。

対して、下流工程であるテスト工程というのは、その上流の工程さえしっかりとしていれば多少の曖昧さは許されてしまうところがあります。

品質は上流工程で作り込むという言葉もあるように、下流工程に求められる役割(品質保証)も実質的に上流工程が担っているというところがあります

ですから、逆に言うとテスト工程自体に求められる役割というのが曖昧となってしまい、抱えている問題なども顕在化しにくいのです。


多くのソフトウェア開発の現場においても、それは同様なようです。

ソフトウェアテストの標準化はあまり進んでおらず、属人的な作業に頼っている(担当者任せの作業となっている)ケースが多く見受けられます

また、そもそもソフトウェアテストに専門的な技術やノウハウが必要であるという認識自体がほとんどありません

たかがテスト」という風潮は少なからず存在し、テストは設計開発ができない人がするもの、もしくは開発エンジニアが片手間に行うもの、そのようなイメージはいまだ根強いのです。

ソフトウェアテストに変革をもたらしたパイオニア企業SHIFT

このようなソフトウェアテストの領域において、ソフトウェアテストのアウトソーシングという未開拓市場を切り開いて急成長を遂げている企業がSHIFT<3697>です。

同社はソフトウェアテストのアウトソーシングサービスを手掛ける企業ですが、この蓄積されたテスト支援を標準化するための膨大なノウハウを基に、ソフトウェアの品質保証プロセスの標準化に取り組んでいます。


ここでソフトウェア業界の話を簡単にさせていただくと、日本国内におけるソフトウェア開発の市場規模は約15.5兆円とも言われており、このうち全工程に占めるテスト工程の比率は約3分の1、つまりソフトウェアテストの市場規模は約5.5兆円とも言われています(※1)。

このソフトウェアテストは前述の通り開発現場においては軽視される傾向にあり、アウトソーシングがほとんど進んでいないというのが実情です。

しかしながら、仮に社内の開発エンジニアがソフトウェアテストも同時に担うとして、第三者性もありませんし、また開発エンジニアが必ずしもこのようなテストプロセスに対して専門スキルを有しているわけでもありません。

開発エンジニアは自身の専門でない分野に時間を取られることになり、これは非効率な上に優秀なエンジニアのモチベーションを下げることにもつながりかねません

ソフトウェアテスト工程は多くの問題を抱えているのです。


このような状態に注目し、問題解決にいち早く取り組んだのがこのSHIFTという会社です。

特に同社が主力とするエンタープライズ系(企業や官公庁などにおける大規模または中核的なシステム)のソフトウェアというのは高度な知識が必要とされるため参入障壁が高く、そのテスト工程のアウトソーシングも遅れていました。


このようなほぼ手付かずの市場に道を切り開いたことは大きな偉業であると言え、事実それは同社の業績にも表れています

同社の業績の伸び率は凄まじく、毎年のように売上高が前年比プラス50~60%近くで推移する日本屈指の高成長企業です(下図)。

(一見すると営業利益率が低く見えるかもしれませんが、2019年8月期の営業利益率は7.9%で大手SIerであるNTTデータの利益率(2020年3月期で5.7%)を上回る水準です。)

図:SHIFT<3697> 業績推移


株式市場ではこのような高成長を続ける企業は素直に評価されますので、株価は当然のごとく2014年の上場時につけた初値からのテンバガー(株価10倍)を達成しています。

(上場後初値1200円(調整後株価)→2020年9月26日時点15,880円

軽視されていた仕事に光を当てたという功績

元々、このSHIFTの創業メンバーはモノづくりの現場で生産管理や品質管理に携わっていた人たちであるということです。

モノづくりの現場における徹底的に分業化をすることで生産性を上げて品質管理をするといった考えからすれば、当時のIT業界はその考えとはだいぶかけ離れた業界であるように感じられたという話です。

すなわち、異業種が交わることでイノベーションが生まれるという考え方です。

そのような環境に自分たちの考えを適用できれば多大な効率化を実現できると考え、その信念のもとに取り組み続けた結果、今こうして大きな功績を残しているわけです。


また、何度も述べているようにテスト工程は軽視される傾向にあり、それに携わるテストエンジニアも開発エンジニアより下に見られがちでした。

しかしながら、こうしてテスト工程の価値が見直されていくことで今後テストエンジニアの価値も上がっていくはずです。

このようにテストエンジニアの評価を高めたことも私は同社の功績のひとつであると感じています。


私自身も、ソフトウェアテストではありませんがテスト工程に携わる立場にいます。

しかしながら、お世辞にも仕事の標準化やノウハウが確立されている部署とは言い難く、若手エンジニアにはつらい環境です。

「そんな仕事〇〇(私の名前)にやらせればいいだろ」などと陰で言われている場面に遭遇してしまったこともあるなど、開発エンジニアたちから見下されることもしばしばあります。

日々歯痒い気持ちで仕事をしています。


優れたビジネスや経営者は、その会社だけでなくその会社または業界に関わる人たちの価値をも高めてくれます

私が株式投資に強く惹かれるのは、そうした会社や経営者に自分の思いを託したいからなのかもしれません。


※1 出典: https://www.valtes.co.jp/recruit/potential.html

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