【銘柄紹介】ウーバー・テクノロジーズ【UBER】~自動運転時代を見据える配車サービスの王者

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会社の窓から外を覗くとそこに広がるのは駐車場に並ぶ無数の車の光景。

田舎の会社あるあるです。


地方在住者にとっての通勤手段といえばマイカー(車)通勤が一般的です。

自宅から会社まで車で通勤して、勤務中は会社の駐車場に車を停めておき、仕事が終わるとまた車で自宅まで帰る。

それが多くのサラリーマンにとっての日常です。


ですが、そんな日常も変わっていくのかもしれません。

人々の生活と深く結びついていた車は、これからも多くの人々にとっての主要な移動手段のひとつであり続けるでしょうが、その関わり方は変わっていきそうです。


米国の配車・宅配サービスを手掛けるウーバー・テクノロジーズはそんな次世代の車社会を見据えています。

今回は少し違った視点から、このウーバーが展開するビジネスの潜在的可能性について社会を取り巻く環境の変化と照らし合わせながら説明させていただきたいと思います。

車を所有することの意義

前述の通り、平日の大部分の時間において車は使われることなく放置されているというのが実態です。

このことを考えれば、平日の車の稼働率がいかに低いかということがわかるはずです。

仮に自宅から会社までの通勤時間が片道30分だとすると、往復1時間の使用で1日(24時間)のうちのたったの4.2%(1÷24=0.042)しか稼働していないという計算となります。

残りの時間はただ眠っているだけの状態、まさに「眠れる鉄の塊」と言えるわけです。

しかも、そうしてたとえば旦那さんの車が会社の駐車場に放置されている一方で奥さんが別のセカンドカーで買い物に行くなどといったことも日常的に行われているわけです。


車の所有には多くのコストがかかります。

その車両の購入代金やガソリン代はもちろんのこと、自動車税、保険料、車検代、洗車代、駐車料金、高速代、オイル交換などのメンテ費用、積雪に備えてのスタッドレスタイヤ代など、多くの出費が発生します。

このような維持費も考慮すると、車の稼働率の低さは決して無視できるものではありません。

ですから、車を所有することの意義が見直されるようになっているわけです。


とは言え、現実的に車なしでの生活が成り立つのは現状では都心くらいなものでしょう。

駐車場代が高額であり、比較的交通の便が発達している都内では車を所有しない人も多くなってきており、特に若者の間での車の所有率や関心は低下傾向にあるようです。


車を趣味と捉える人もいれば単なる移動の道具と捉える人もいて、後者の人たちからすれば車を所有する必要性はそれほど高くありません。

必要なときに移動するための手段が得られればそれで十分とも言え、そういった人々の生活を支えるサービスが続々と登場し始めています

配車サービスの王者ウーバー・テクノロジーズ

米国のサンフランシスコに拠点を置くウーバー・テクノロジーズはそんな新しい移動手段を提供してくれるベンチャー企業です。

2009年に設立された同社の名を今や世界中の人々が知るようになりました。


自家用車による移動手段を提供する人々とそれを利用したい人々とをスマートフォンのアプリでつなぐ、そんなありきたりのように思えて、しかしながら莫大な需要をもつであろう同社のこの配車(ライドシェア)サービス。

残念ながら、日本の法律ではこのサービスが「白タク」行為にあたるとみなされ違法となってしまうことから、日本においては同社の真骨頂とも呼べるこのサービス(UberX)を利用することができません。

代わりに、日本では営業許可を受けているタクシーやハイヤーを配車できるサービス(Uber Taxi、Uber Black)が提供されています。


また、同社は配車サービスだけでなく飲食店の料理の宅配サービス(Uber Eats)なども展開しており、日本だとこちらのほうが同社のサービスとしては広く知られているかもしれません。

料理を提供するお店、料理を配達してほしいユーザー、料理を配達したい人々、この三者を同社のサービスがつなぎ合わせます


このような配車にしろ宅配にしろ、利用者と移動手段を結びつけることが同社のビジネスモデルであると言え、同社は未来のモビリティサービスのプラットフォーマーになりうる存在です。

ウーバーの未来は自動運転の実現にかかっている

ウーバー・テクノロジーズの業績は厳しい状況が続いています。

上場以来赤字が続いており、今後も当面黒字化の見通しはありません。

加えて、今年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、主力のライドシェア事業の売上高が激減しています。

ウーバーイーツなどの配達サービス部門の売上高は大きく伸びているものの、配達サービスは競争も厳しく、依然としてこの部門だけでも赤字が続いています。


しかしながら、目先の業績だけで同社を語ることはほとんど無意味に近いと言っても良いでしょう。

同社の時価総額はこの記事の執筆時点(’20/10/11)で 653億ドル(6.9兆円)にも達します。

赤字続きの会社にこれほどの時価総額が付く理由を現在の業績だけで説明できるはずもありません。

多くの投資家たちは同社の未来を見据えて投資を行っているはずです。


ウーバーには収益構造を激変させる未来が待っていると考えられています。

それが自動運転の実現と普及です。

ウーバーの成功はこの自動運転の実現にかかっていると言っても過言ではないはずです。


同社の業績が赤字続きである要因は、原価率の高さと販管費・一般管理費の高さにあります。

販管費・一般管理費には広告費も含まれますので、シェア拡大を目指す今の同社にとって、この費用の高さは致し方ない面もあります。

一方で、原価率の高さはビジネスモデルの本質的な問題であり、これは今後のネックになりえます。

現状のウーバーの売上原価比率の多くを占めるのがドライバーに支払う報酬です。


しかしながら、この状況は今後大きく変わる可能性があります。

仮に完全自動運転が実現し、運転時にドライバーが不要となる未来がやってくるとすれば、同社の原価率は激減することになるでしょう。

自動運転の運営費はドライバーへの報酬に比べれば少ないはずだからです。


また、自動運転が普及することで車を所有する個人が少なくなり、同社のサービスの利用者が一層増えることも期待できます。

さらに、こうして利用者が増えることでスケールメリットも出てきます。

自動運転の運営費用は固定費であるため、利用者が増えれば増えるほど単価は下がることになり、より一層原価率の低下につなげることができます。

もちろん、これらの話は同社がモビリティサービスのプラットフォーマーとして君臨していることがその前提としてあります。


楽観的な見方の気がしなくもないですが、このような自動運転が普及した未来における活躍を期待され、同社には現在の業績から見れば破格の企業価値(時価総額)がついているのです。

それが果たして5年後なのか10年後なのか、あるいは30年後なのかそれとも10年後なのかはわかりませんが、ある意味でこういった企業に投資することこそが真の長期投資と言えるのではないでしょうか。

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