理想論を語り部下をつぶす上司たち

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日本の会社にはいわゆる「クソ上司」が山ほどいます。

たいした実力や実績などなくても、古くからの年功序列の風習のおかげで誰でもある程度までは出世できるのが日本の会社です。

ですから、そんなクソ上司が量産されてしまうのも仕方のないことでしょう。


クソ上司の特徴は様々です。

パワハラや部下の手柄を横取りするような上司は論外ですが、中には一見すると問題がないように見えて実は大きな危険をはらんでいるタイプの上司たちがいます。

それが、理論論を語る上司です。


このような安易に理想論を語る上司たちが部下を追い込んでいると私は感じています。

仕事の難しさは理想と現実の折り合いをつけること

私が今行っている仕事の中には、周りの人たちに口出しする仕事も多くあります。

私はそのような仕事がとても苦手です。

言ってしまえば「口だけ」の仕事であり、周りの人たちからは快く思われません。


このような他所の仕事に口出しすることの難しさは、理想と現実の折り合いをどのようにつけていくかというところにあると思っています。

口で言うだけであれば、いくらでも綺麗事を言えるわけです。

理想を語るのはとても簡単なことです。

どこかで聞きかじったような正論じみた話をすることくらいなら誰でも容易にできることでしょう。

また、そもそもそのような理想論や綺麗事など、口出しされる側も十分承知しているはずです。


ですが、実際にそれを実行に移すからには現実と向き合っていかなければなりません。

理想と現実には大抵ギャップがつきものです。

実行する側の人間はこのギャップを埋めていかなければならないのです。


実際に行動する立場の人たちが大きな理想を掲げるのであれば、理想と現実のギャップが大きかったとしても、それで苦労するのはその当人なわけです。

しかしながら、ただ口出しするだけの人たちというのは、理想論を語ったところで自分自身が苦労するわけではありません

口出しする人の浅はかさや未熟さのツケは口出しされた側の人たちが支払うことになるのです。

理想論を語り部下をつぶす上司たち

私の周りにも、上司から綺麗事や理想論を押し付けられて体調を崩し、会社を休職したりさらには退職に追い込まれた人たちもいます。

また、実際にそのような相談を同僚から受けたこともあります。


その同僚いわく、上司はとにかく理想論を追求してくる人だったそうです。

上司の言っていることは現実の実態からあまりにもかけ離れすぎていて時間的にも精神的にもとてもそれを実現するだけの余裕はない、けれどもその一方で上司の言っていることが正論であるが故に逆らうわけにもいかない、そのジレンマに苦しんだという話でした。


私も、メンタルを病んだことはないにせよ、同じような経験は幾度となくしています。

自分の威厳を示すためなのか、上の世代の人たちはやたらとかっこつけたがる癖があるように思えます。

正論や理想論は語るのはそのような目的を果たすのにはうってつけです。


会議の場などでその場の誰もがわかっている正論を振りかざしてかっこつけようとしたがる。

けれども、それによって生じる負担などに対しては責任を負うことはない。

その負担はすべて部下に降りかかってきて部下の苦労が増す一方で、上司は自分がかっこつけられて満足げにしている。

そんな光景を幾度となく見てきました。


理想論を語るばかりの上司たちが部下を苦しめ、ときに部下をつぶすのです。

理想論を突き付けることの危険性

口出しするだけの仕事というのは思っているよりもずっと難しいものだと思います。

ですが、この感覚をなかなか共有し合うことはできません。

私には、周りの人たちの仕事のやり方が「軽々しく」思えるときがあります。

現場の人たちが理想と現実の折り合いを必死につけようとしているところに気まぐれに乗り込んできて安直に理想論を語っている、周りの人たちに対してそのように感じてしまうのです。

しかも、当の本人たちは自分は正論を言っているのだと自分の正当性を信じて疑わないわけです。


私自身、論理性や理想を重んじる人間ではありますが、それでも理想論を突き付けることの危険性は認識しているつもりです。

理想論は物事の見方のひとつの尺度でしかありません。

物事はこうあるべきだという視点しか考慮されていないのです。


物事を進めていくために考慮しければならないことは山ほどあります。

ですから、あらゆる尺度や観点から物事を判断して理想と現実をもっとも適度なバランスで折り合いをつけていく能力こそが現場で本当に必要とされている力だと考えています


それに気づかない限り、いつまでも的の外れた意見を言い続けることになるでしょう。

その現実に向き合おうとしない上司たちが部下をつぶし続けるのです。

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