業務効率化という言葉は最近いたるところで耳にするようになってきていて、私の会社でもこの取り組みを進めています。
この業務効率化を行う前段の作業として、現状の業務分析があります。
その際に、まず業務の体系化というものを行うことになるのですが、この業務の体系化というのはそれなりの情報処理能力が問われます。
これまで何度か取り上げてきた情報や思考の構造化といった能力がこういうところで試されるのです。
業務の分類をしてみたものの…
私の会社(部署)でも、今まさに業務の効率化というものを進めているところです。
その取り組みの中で、業務の分類という作業を行っています。
自部門の業務を大分類-中分類-小分類といった分類に分けていったのですが、その一例として私の部署では以下のような分類仕分けがなされました。
【大分類】
- 製品Aの実用化
- サービスBの維持活動
- 会議
- 会計処理
- 資料作成
(業務内容が特定できないように一般的な書き方をしていますが、ざっくりとしたところではこんな感じになっています。)
このような分類は適切ではありません。
この分類では、情報が構造的に体系化されていません。
目的レベルと作業レベルが混在している
この分類の最大の問題点は、抽出された項目の粒度(レベル感)が全くあっていないことです。
具体的に言うと、この分類には目的(ゴール)による分類と作業(過程)による分類、2つの視点が入り混じっています。
目的(ゴール)による分類
上で挙げた業務のうち、
- 製品Aの実用化
- サービスBの維持活動
これらは目的(ゴール)による分類です。
同じ製品の実用化とはいっても、製品によって異なるステップ(過程)を踏むということはよくあります。
そこで、製品ごとに実用化フローを分けて考えて、それぞれのフローの過程を詳しく調べたり、あるいは見比べたりして効率化を図っていこうといった場合にはこのような分類の仕方が役に立ちます。
ここで、たとえば製品の実用化といった場合、その下の階層にはいろいろな作業(過程)が含まれることになります。
製品の実用化にあたって、設計図を書くこともあれば、情報収集をしたり、関係部署との話し合い(会議)やそのための資料作り、事務処理だって含まれるわけです。
作業(過程)による分類
一方で、
- 会議
- 会計処理
- 資料作成
これらは作業(過程)レベルの分類です。
確かに、個人の業務に直接かかわってくるのはこうした具体的な行動レベルの内容ですから、このように下流レベルでの分類を行うというのもひとつの手です。
ですが、この分類が下流の階層の分類であるということは頭に留めておくべきです。
(先ほどの目的(ゴール)による分類は上流レベルの分類になります。)
モレなくダブリなく(MECE)
情報の体系化を行う上で大切なことが、情報のヌケやモレをなくすことです。
このような考えをMECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive 訳:お互いに、重複せず、全体的に、漏れなく)と呼び、コンサル業界を中心によく用いられる言葉、思考法になります。
このMECEの考えにおいて、情報の構造化はとても大切なのです。
上の分類の話であれば、目的(ゴール)による分類と作業(過程)による分類が混在していますから、必ずモレやダブリが生じます。
たとえば、製品Aの実用化フローの中で会議を行う必要がある場合、その会議は「製品Aの実用化」の中分類(または小分類)に入るのか、それとも「会議」の 中分類(または小分類)に入るのかが定まらないわけです。
業務効率化を円滑に進めるにはお互いの仕事に対する理解や配慮が必要
業務効率化というのはなかなか難しいところがあります。
上のような話もそうですし、相手がこれまで行ってきた業務に対してその正当性を問わなければならないわけですからね。
会社のコミュニケーションというのは、ただ正論を述べればいいというものでもありません。
言い方とか配慮とか、もっと言えば人柄とかそういったものがいろいろと必要になってくるわけです。
そして、そういったコミュニケーションができないのが自分の課題でもあるわけです。
ただ論理に従って意見を物申すだけじゃ、口だけ野郎扱いされてしまうのが関の山です。
(実際、過去に何度か口出ししてはそういうふうに言われてきましたから。)
業務効率化を円滑に進めるには、やはりお互いの仕事に対する理解や配慮が必要です。
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