働き方改革の普及に伴い、従業員の労働時間(残業)を減らそうという動きが広まりつつあります。
また、企業側からしても、時間外労働の時間が規制値をオーバーしてしまう、あるいは経費(人件費)を削減したい、このような理由から社員の残業時間を抑制したいと考えるケースもあるでしょう。
このように理由は様々ですが、残業(残業代)を減らしたいという方針が会社の上のほうから降りてきて、それを受けた管理職の人たちは部下に対してこう指示してくるわけです。
「残業時間を〇〇時間に抑えろ」と。
仕事量を管理せずに残業時間を減らせと言ってくる上司
そう言って、毎日部下の残業時間を細かくチェックしているわけです。
中にはこのようなことを言ってくる上司もいます。
「部下の勤務時間を管理するのが俺(上司)の仕事だから」
違うと思います。
あなた方の仕事というのは、部下の勤務時間を管理することではなく部下の仕事量を管理することだと思います。
「残業(労働時間)を減らせ」という指示が出たのであれば、労働時間を減らすための具体的な策を講じてください。
タスクの優先順位を決める、人的リソースの配分見直しを行う、そういった上流側の話に課題を落とし込んでください。
社員の勤務時間をただチェックするだけの仕事などそこらのアルバイトにでもできます。
仕事量を管理せずに残業時間を減らせと言ってくる行為がいかに理不尽であるか
このように仕事量を管理せずに残業時間を減らせと言ってくる人たちというのは、その行為がいかに理不尽なことであるのかを自覚しているのでしょうか。
仮に今まで残業をすることで仕事をこなせていたところに、仕事量はそのままで労働時間を減らせという指示が下りてきたとすれば、その人は次のどちらかを選択するしかありません。
会社に隠れて仕事をする(サービス残業をする)か、もしくは時間当たりの仕事量(業務効率)を上げるかです。
この2つはアプローチこそ異なれど、どちらも成果基準で考えれば同じことです。
同じ仕事量や成果に対して、これまでよりも少ない賃金しか与えられないことになるわけです。
もちろん、後者の業務効率を向上させることに関して、積極的に会社や上司の人たちが関わってくれるのであれば、それは推進されるべきことだとは思います。
ですが、それを担当者任せにしているのであれば、もはやそれはサービス残業を強要しているのとたいして変わらないレベルであることを当事者たちは自覚すべきです。
上司は手本を示さない
また、このように部下の残業を厳しく規制しようとするにもかかわらず、当の本人たちは自分たちの残業時間を減らす気が感じられないことにも私は不満を抱いています。
おそらく、彼らの言い分はこうでしょう。
「自分たち(管理職)は残業代が出ないから残業をしても会社に迷惑をかけない(だから残業をしてもいい)」
でも、そういう問題ではありません。
我々はダラダラと仕事をしているから残業時間が増えているのではありません。
多くの場合、単純に仕事が終わらないから残っているわけです。
与えられた仕事量を所定の労働時間でこなせないから残業が発生しているのです。
ですから、上司の人たちはまずは自分たちが手本を示すべきだと思います。
部下に残業を減らせと指示しているのだから、どうすれば労働時間を減らせるのか、その具体的な方法を行動で示してください。
部下にはてきぱきと効率よく仕事をすることを求める、その一方で自分たちは周りと談笑しながらダラダラと働いている、そんな光景をよく目にします。
自分の仕事の時間を管理できていない、あるいは管理する意思がない人たちに部下の仕事の管理ができるとは私は思いません。
精神論からの脱却を求めている
言い方は悪いですが、管理職の人たちが会社に遅くまで残るのには、自分は精一杯働いているのだというアピールをしているといった部分も少なからずあるはずです。
結局、その根底には精神論があるわけです。
ですが、私が上司の人たちに求めているのはそういった精神論ではないんです。
私は、自分の上司に対して会社や自身が掲げる方針を具体的な要求や仕組みに落とし込んでくれることを期待しています。
精神論から抜け出さない限り、労働時間の削減や業務効率の向上といった合理的な考えが求められる課題に立ち向かうことはできない、そう私は強く思います。
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