「個人投資家の9割は損する」のウソと本当

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以前に日本人が投資を敬遠する理由についてお話しさせていただきましたが、やはりその最大の理由はそもそも投資は儲からないと考えている人たちが多いからだと思います。

【参考記事】

実際、個人投資家の9割は損するという言葉もあるくらいですからね。

でも、これって本当なんでしょうか?

個人投資家の9割は損する?

個人投資家の9割は損をする。

巷でよく耳にする言葉ですが、少なくとも株式投資ではそのようなことはまずありえないと思います。


そもそも株式投資は長期でみればゼロサムゲームではありません。

株式市場では市場のマネーの総量というものが決まっていません。

企業価値や市場規模が拡大すればマネーの総量が増え、反対に縮小すればマネーの総量が減ることになります。

そのため、マネーの総量が増えている局面では儲かる確率が高くなり、マネーの総量が減っている局面では損をする確率が高くなるのです。


たとえば、個人投資家パフォーマンスランキングというサイトには個人投資家ブロガーの投資パフォーマンスが掲載されていますが、これをみると2019年の年間パフォーマンスは69人中65人がプラスで、約94 %の個人投資家が儲かったということになります。

これは「個人投資家の9割は損する」の定説とは真逆の結果と言えます。


もちろん、どこまで本当かどうかもわかりませんし、こういった成績を公開できるのはある程度投資が上手くいっているからということも考えられるでしょうから、多少のバイアスがかかった数字ではあるかとは思います。

ただ、2019年は株価的には堅調な年であったのも事実で、利益をあげられた投資家も比較的多かったのではないでしょうか。


一方、2018年の年間パフォーマンスは68人中10人がプラスで、こちらは儲かった投資家が約15 %しかおらず定説の数値に近い数字でした。

2018年はアベノミクスが始まって以来7年ぶりに日経平均株価の年間騰落率がマイナスに転じた年で、この年は損失を出した投資家も多かったはずです。

(私も株式投資を始めて以来初の年間マイナスを記録しました。)


このように、投資をする時期やそのときの社会情勢などによって儲かる確率は変動するはずで、一概に何割の人が儲かる(損する)などとは言えないわけです。

ただ、このような定説が広まったのには何かしらの理由があるはずです。

個人投資家の9割が損するといわれる理由

そこで、その理由ついて私なりに考えてみました。

損切りができない

個人投資家が失敗しやすいと言われる理由はメンタル的な部分が大きいとは思うのですが、その具体的な内容の1つがこの損切りに関することです。

損切りは株式投資の大きな特徴の1つです。

というのも、我々の普段の生活には損切りという概念はあまり出てきません。

特に日本人は忍耐強いのかそれとも単に思考停止しているのかはわかりませんが、一度選んだものを手離すということを嫌います。

たとえそれが失敗だったと自分の中で結論づけている場合であってもです。

それが日本人の理想とする生き方ですし、逆にそれを変えるのが難しかったりします。


でも、株式投資は少し事情が違います。

失敗だと判断した投資先を見切る、つまり損切りすることが容易にでき、かつそういった判断が株式投資では非常に重要となります。

実際、長年にわたって安定したパフォーマンスを残している投資家は、銘柄の選定よりもむしろこの損切りが上手いという印象すらあります。

順張りができない

ビギナーの個人投資家がメンタル的にやってしまいがちなことのもう一つがこれです。

日本は長らくデフレが続いてきたため、日本人はモノを安く買うという習慣が身についてしまっています。

そのため、株を買う時でも、安くなるまで待って株価が下がってきたところであえて買うということをやってしまいがちです。

これを株式用語で逆張りと言います。


一方で、株が高くなってきたところで買う手法を順張りと呼び、一般的には順張りのほうが株価のトレンドが読みやすく成功しやすいと言われています。


日本人の個人投資家はこの難しい手法である逆張りしがちなことも(損をしやすい)理由の1つであると思います。

投資に対する妬みがある

投資はそんなに簡単なものじゃない、甘くないという風潮を作りたいという思惑もあるような気もします。

日本においては不労所得は悪とみなされがちです。

身体を張ってお金を稼ぐことが正義であり、投資などというただお金を転がすだけの稼ぎ方なんて言語道断である、それが世間一般の考えでしょう。


私も、会社に入って間もない頃のまだ投資を始めていなかった当時はそう思っていました。

働かずにお金を稼ぐことが悪いというよりも、働かずにお金を稼ぐことなんてできるわけない、そんな都合の良い話なんてありえない、そのように思っていました。


ある意味、そういった保守派の人たちの思惑にはめられていたのかもしれません。

選択肢の1つとして投資を考える

確かに投資にリスクがあることは事実です。

でも、投資以外の収入源にリスクがないかと言えばそうとも言えません。


会社に入れば一生安泰という時代でもありません。

仕事に悩んで鬱になってしまう人だっています。

会社の業績が傾けばリストラされることもありえます。

突然の不本意の異動を言い渡されるかもしれません。


ですから、このようなリスクに対するリスクヘッジの選択肢の1つとして投資を考えるのは全然ありなんじゃないかと思います。

選択肢の多さと人生の豊かさは比例すると私は考えています。

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